祇園祭の鶏鉾の稚児人形の修復が完了し、京都市下京区の会所で27日にお披露目された。修復により脚部が曲がって正座できる仕掛けが施されていることが分かったという。鶏鉾保存会の坂本篤史代表理事は「50年ほど祇園祭に関わっているが、初めて知って驚いた」と話している。
稚児人形は全長130センチほどで、脚部は大腿部、すね、足首より先に分かれており、着脱できる。普段は腰より下を取り外した状態で収納し、巡行時は足裏から胸までを貫く鉄芯を通して立てた状態にしている。
美術院(下京区)が2023年度に関節部を修復したところ、脚の付け根と膝の関節部分に竹の芯を差し込み、芯を軸として折り曲げられる構造と判明した。収納箱の状態から、以前は正座した姿で収納されていたという。
監修した追手門学院大の浅湫毅教授(日本彫刻史)は、鉾にはかつて子どもが担う「生稚児(いきちご)」が乗っていた伝統を踏まえ、「稚児人形が正座できるのは、生稚児が立ったり座ったりしたのを再現しようとしたのではないか」とみる。
また、人形内の墨書や鉄芯の印刻から、幕末の1863年の製作と証明されたほか、文献などで「山口源光好」とされた作者の本当の名が「山下源光好」だったことも分かった。
この日は21、22年度に修復した鉾の屋根を受ける部材「軒桁」と関連の錺金具も公開された。正座する稚児人形は、7月13日に会所の拝観で拝めるようにする。
|