「平家物語」にも登場する「沙羅(さら)双樹の花」として知られるナツツバキが妙心寺塔頭の東林院(京都市右京区)で見頃を迎え10日、特別公開「沙羅の花を愛(め)でる会」が始まった。こけむした禅寺の庭のところどころに白い花が散らばり、参拝者は花の命に思いを巡らせていた。
ナツツバキはツバキ科の高木。朝に咲き、夕方には花を落とすことから、はかなさを現すとされる。日本では釈迦入滅の際、四方にあった沙羅双樹に例えられる。
東林院境内には約20本のナツツバキがある。西川玄房住職(85)によると例年は5月下旬に開花するが今年は5日ほど遅く、6月に入って咲き始めたという。
10日は、西川住職が「花供養」を行って読経し、ナツツバキのある本堂前庭に向かい香を供えた。西川住職は「一日で開き散ってしまう花を見て、人の世の無常を感じてもらえれば」と話す。
特別公開は23日まで。菓子・抹茶付き1600円。
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