京都府亀岡市や南丹市の山間部で24日夜、伝統行事の火祭りが営まれた。夜の闇を真っ赤な炎が照らし、五穀豊穣や無病息災を住民たちが祈念した。
亀岡市畑野町土ケ畑では、稲刈り前に豊作を祈る「サンヤレ」があった。地域を見下ろせる山に上がった炎の前で、地元の子どもたちが鉦(かね)と太鼓を打ち鳴らした。
愛宕信仰の影響を受けた行事とされ、市指定文化財になっている。昨年は悪天候で中止したため、2年ぶりに営まれた。
午後6時半ごろに点火。鉦と太鼓の音に合わせて、参加者が「にーしのおーくのサンヤレヤ」と唱えた。
南丹市美山町の鶴ケ岡地域では、夏の終わりを彩る「上げ松」が行われた。住民たちが木柱「灯籠木(とろぎ)」の先に付いた竹籠「もじ」に目がけて火をともしたたいまつを投げ上げると、谷間の真っ暗な夜空に炎の軌跡が浮かび上がった。
愛宕信仰に由来する伝統行事。同町では4集落で続いており、盛郷と川合が24日に行った。
盛郷では棚野川の河川敷に高さ26メートルの灯籠木を立て、午後8時ごろに開始。男性たちがたいまつに結びつけた縄を持って勢いよく回し、放り上げた。
笛太鼓が響く中、大勢の住民が見守り、たいまつがもじをかすめるたびに歓声を上げた。1時間後に命中し、もじに入った杉の葉がパチパチと燃え上がった。
最後は炎に包まれたもじを勢いよく地面に引き落とした。火の粉が灯籠木の高さいっぱいまで舞い上がり、大きな拍手が起きた。
祭りの終わった会場には、山里に夏の終わりを告げるような涼風が川から吹き抜けた。
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