完全復活向け住民らが山づくりに挑む
かつて京都市東山区の菊渓(きくたに)に自生し、一度は姿を消したキクタニギクの復活を目指し、行政や地域住民による森づくりが盛んに行われている。ただ、台風の影響で山林の土砂が流れるなどの被害もあり、完全な復活には長い年月がかかりそうだ。
菊渓は、東山(華頂山)の将軍塚付近から鴨川にかけて流れる菊谷川の上流部に位置する。かつては下流部も含めて「菊と名水の地」として知られた。キクタニギクの名称はこの地名に由来。10月下旬から11月にかけて小さな黄色の花をつけ、日が当たると金色に輝くようにも見えることから「アワコガネギク」とも呼ばれる。
明治維新以降、菊谷川の下流部は歓楽街の発展や街路整備によって暗渠(あんきょ)化された。上流部の山林も人の手が入らなくなるなど生育環境が変化していった結果、現地に自生していたキクタニギクの在来の株は全滅したとされる。
地域で親しまれていたシンボルでもあるキクタニギクを、当時の景観とともに取り戻したいと2017年3月から、東山区の寺社や地域団体、企業などでつくる「京都伝統文化の森推進協議会」(事務局・京都市林業振興課)が菊渓周辺で取り組みを開始。毎年、専門家や住民ボランティアとともにキクタニギクの苗100株を植えている。
現地では株が根付き始めているが、台風や豪雨で倒木が発生したり土砂が流れたりして生育に影響も出ているという。京都市都市緑化協会の佐藤正吾事務局長は「一度は全滅した植物を再生するのは、そう簡単にはいかない。時間はかかるが、少しずつでも多くの人に楽しんでもらえるような場所にしていきたい」と話している。
現地のキクタニギクは、将軍塚に向かう国有林歩道で一部確認ができるが、通行止めになっている場所もあり、林野庁は注意を呼びかけている。
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