風鈴寺として知られる京都府宇治田原町奥山田の正寿院で、50年に1度しか公開しない本尊の「十一面観音菩薩立像」が、修復に入るのを前に特別公開されている。本来の公開予定は2040年だが、鎌倉時代後期に造られたとされる寄せ木造りの貴重な仏像を間近で拝むことができる。11月30日まで。
正寿院は1200年の創建。江戸時代中期に火事で創建時の建物は焼失したが、本尊は火を逃れた。秘仏として50年に1度だけ開扉してきたため保存状態が良く、衣の模様まで美しく残る。2016年に町指定文化財となった際、調査した専門家に助言され、100年以上ぶりの修復を行うことにした。作業に入る前の姿を見てもらえるよう、特別公開を決めた。
公開終了後、修復作業を行う。1度解体して組み直し、欠損部分も復元するため、最低でも1年以上かかる見込み。年月を経て変色した現在の色味のままで仕上げる予定という。
久野村大寛副住職(37)は「公開は50年に1度なので、地元でも見られていない方が多い。また、修復前を見られるのは今回が最後。この機会にぜひお姿を見に来てもらいたい」と話す。
午前9時〜午後4時。拝観料は千円。数量限定で十一面観音菩薩立像が描かれた特別御札を配布している。問い合わせは正寿院0774(88)3601。
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