平安時代に念仏を広めたとされる僧・空也ゆかりの「空也踊躍(ゆやく)念仏」が13日、六波羅蜜寺(京都市東山区)で始まった。「モーダーナンマイトー」などと唱える口伝の念仏を境内に響かせ、4人の僧侶がこの1年の罪業消滅などを参拝者とともに祈った。
踊躍念仏は同寺を開いた空也が、悪疫退散を願って始めたのがルーツとされる。念仏が弾圧された鎌倉時代からは、言い回しや所作を文字に残すことなく、代々の住職がひそかに継承してきたという。国の重要無形民俗文化財。
午後3時半すぎに始まると、川崎純性住職らが鉦(かね)を鳴らし、上半身を踊るように揺らしながら本堂内陣を巡った。外部の人に分からないよう「南無阿弥陀仏」を言い換えた「モーダーナンマイトー」「ノーボーオミトー」の唱和を響かせたが、弾圧の名残を示すように、僧侶は15分ほどで散るように去って終えた。
川崎住職は「世界では戦乱が続いているが、多くの人が幸せな1年を過ごせるよう、心を込めて祈りの念仏を唱えたい」と話していた。
踊躍念仏は14〜20日と28〜30日の午後3時半からもあり、一般公開している。21〜27日は午前8時半から、着座で唱える「称名(しょうみょう)念仏」も営まれる。
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