滋賀県長浜市にかつて複数あった映画館の復活につなげる「ナガハマ映画祭」の初回が1月18、19両日に市内で開かれる。国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録された長浜曳山(ひきやま)まつりを題材に長浜市在住の映画監督谷口未央さん(46)が撮影した「長浜」の初公開を含め、計3本が上映される。
谷口さんが代表を務める任意団体「コルミオ・フィルム」などが主催する。谷口さんは京都市出身で、2歳から小学6年まで長浜で育った。東京で映画製作を学び、2018年には曳山まつりがテーマの短編「桑の実」を作った。22年から市内に住んで映画製作を続けている。
「長浜」(93分)は23年秋から曳山まつりの山組の「鳳凰山(ほうおうざん)」の舞台を使うなどして撮影した。主人公である11歳の男児・伊吹が、父親の遺骨を届けるために台湾人の母親と訪れた長浜で曳山まつり子ども歌舞伎の役者に選ばれる筋書きで、伝統文化と多様性の邂逅(かいこう)を描いたという。
18日は曳山博物館(同市元浜町)で開催する。「長浜」の上映は午後6時半から。上映前に谷口監督や、出演した荘司亜虎さんらの舞台あいさつがある。午前の上映分は完売した。19日は、きのもと交遊館(同市木之本町木之本)で開く。「長浜」の上映は午後3時半から。
谷口さんによると、かつて長浜市内にはいくつも映画館があったが、現在はノンフィクション専門の上映館があるだけという。谷口さんは「映画製作を通じて長浜を活性化させたい。スクリーンで映画を見る体験を重ねれば映画館は復活させられるはず。映画祭開催で『長浜に映画館がほしい』と願う仲間を増やしたい」と話す。
上映は原則有料。問い合わせは曳山博物館0749(65)3300。
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